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日記 アーカイブ

江川坦庵公遺訓

 11日、伊豆を離れる前に、英龍(坦庵)で有名な、重要文化財 江川邸に寄る。
 塾の間に野田蘭洞の額があった。これに関する説明は何もなかったし、自分で調べてもいないので、出典や詳細は不明であるが、ともかくこう書かれていた。
  江川坦庵公遺訓
 
 平素十分の技術も
 時に臨み用をなすは
 五分にして若し其の功
 用八分を得は天下に敵
 なし   蘭洞主人書

 さすが、佐久間象山をはじめ多くの傑物が砲術を学んだ師である。

地震

 今朝、東海・伊豆地方で強い地震があった。私は伊豆の国市にいた。阪神淡路大震災の悪夢が蘇ったが、じっと揺れるのを待った。
幸い揺れはすぐにおさまり、ものが落ちてくることもなかった。豊橋に帰る日だったので、東名高速が通行止めになって、ひどい渋滞の中、一般道で帰らなければならなくなったくらいである。幸運だったと思う。
 6:11 静岡県内に帰省中だった部員から、無事を知らせるメールが届く。
その後、卒業生やその他関係者からも、自分たちの無事の報告やお見舞いメールが届く。私が伊豆にいることを知っていた者からは着信があった。
 幸い電波も混んでいる様子もなかったので、返信と折り返し電話をした。

 被害に遭われた方には心よりお見舞い申し上げます。
 

中国茶

 縁あって茶香苑(中国茶専門店)のご苑主と知り合いになり、昨日何人かでお邪魔しました。いろいろ楽しいお話を聞かせていただき、おいしい中国茶を堪能しました。
 瀧澤師匠、ありがとうございました。

一本とられました

 昨夜、蚊がいた。
妻「蚊取るやつあるやん。つけーや」
僕「あれ、何年も前のやで。中の液体腐ったりしてへんか?」
妻「知らん」
僕「つけて寝て、起きたら三人とも死んでたらどーすんねん」

 もちろん何の根拠もないただの洒落である。メーカーさんすみません。

 するとその会話を聞いていた娘がぽつり。

「起きたら三人とも死んでることはありえへんで」。

ごもっとも。うちは三人家族です。

亀仙師匠はまだ早い!

 亀仙師匠アロハシャツを着て喜んでいたら、「まだお前には亀仙師匠の格好は早い。これでも着ておけ」とばかりに、亀Tシャツを着せられた。これで、師匠と弟子の両方になれるです、はい。
 でも2週間ほど頭を刈ってないので、クリリンにはなれませんでした。kame.JPG
kamebuck.JPG

バーゼルからの便り200907

 スイスのバーゼルにいる留美子さんからメールがきた。

なんと、剣道とベリーダンスを始めたそうである。そしてこう書かれていた。

剣道の先生はドイツ語、ダンスの先生はフランス語で話され、時々しか英語を使いません。ほとんど何をおっしゃっているのかわかりませんが、言葉が聞き取れなくてもわからなくても、何を伝えようとしておられるのかを感じることに努力しています。

 彼女は空手もそうやって上達してきたので、剣道であろうが、ダンスであろうが、ドイツ語であろうが、フランス語であろうが、へっちゃらなのである。
 今武道部にいるマシューくんも日本語がほとんど分からないが、めきめき上達している。ぜひ見習いたいものである。
 そしてメールはこう結ばれていた。

 この地でしか触れることが出来ないことを楽しんで生きたいと思います。

 本当に素敵な若い夫婦である。空手の稽古も続けているようだし、今度会ったときには、空手に加えて、見事な竹刀捌きとベリーダンスを披露してくれることだろう。

 ところで、恥ずかしながらベリーダンスというのを知らなかったので早速検索してみた。びっくりした-!こんなんやってるねんね。るー。

空(くう)の写真家

放映は大分前だったが、水中写真家の中村征夫さんがプロフェッショナルに出ておられた。コウイカの交接の撮影に挑んでおられるとき、こう語っておられた。

 交接とかすぐそこでは行われていても、僕にはただ見えないだけで、魚の方は全部僕の方を察知していると思うんだけどね。だから撮ろう撮ろうとかね、いろいろ考えてちゃうと、その波長というのはもうどんどん相手に届いているんじゃないかと思うんですよ。だから空の状態でいかないと。

スタジオでも、

撮るぞ、撮るぞという意識を持たない。

自分の気をなくすようにリラックスした状態で、来たらシャッターを静かに押そうかなと考えていると、以外にそういういいチャンスに出会えると思うんですよね。

とおっしゃっていた。

 素晴らしい。年来力説しているように、すぐれたプロフェッショナルは、みなこの逆説を生きているのである。そしてこの「逆説」に極めて自覚的であり、その心の状態を意識的に作り出そうとするのが、武道における形稽古であり、約束組手稽古なのである。

メガネ屋さん

 先週と今週のカンブリア宮殿に、メガネ21の平本清さんが出演されていた。

http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/list/list20090622.html

 メガネ21に関しては、以前、今流行のアメリカ流マネジメントと全く異なる手法を用い、人情を理解した優れた経営者として紹介されているのを聞いたことがあり、非常に興味を持っていた。
 実際に番組を見たが、非常に面白かった。
 「ノルマなし」「(会社に)内部留保なし」「銀行借り入れなし」「管理職なし」といったことが次々紹介された。社員の給料やボーナスも高額で、しかも全て公開されているとのことである。それを語っている平本さんも、実に興味深い人間であった。
 内部留保というと、樹研工業が豊富な内部留保で不況に対応している話をこのブログでも書いたが、今度のメガネ21は、会社に全く内部留保を持たないそうだ(社員に内部留保しているとのことであるが)。しかしどちらの会社も、不況をものともせず、かつ社員の方がいきいきしているように見うけられた。その方法は違うように見えるが、前に書いた「身の程を知る」、「無理をしない」という点が、共通しているのだと思う。
 会社全体の経営もそうだが、社員一人一人も、無駄な無理をさせないという。例えば「ギブアップ宣言」。今の上司と合わない場合、「ギブアップ宣言」をネットに書き込めば、即配属変えをしてくれるらしい。しかも努力して合わせようとする必要はなく、即ギブアップしていいのだそうだ。もちろん普通の人は、多かれ少なかれ努力はすると思うが、ダメだったらいつでも代えてもらえるというのがあるのとないのとでは、全然違うだろう。

 会社でも、研究室でも、課外活動でも、授業でも、全員がいきいきと自分の能力を最大限に発揮できるのがいいに決まっている。もしそれが出来ないとしたら、大抵の場合、それを奪っているのは「上の人間」である。武道部でもそれを目指しているが、現実にはうまくいかないことも多い。仕方ないので、名前だけでも変えようと、少し前から武道部は改称した。新しい名前は、
 HAPPY! LUCKY! 武道部
である。だが恥ずかしいので、対外的にはこれまで通り、武道部と名乗っている次第である。

 ところで、とても魅力的な会社ではあるが、では私がここでメガネを買いたいと思うかどうかは、実際に店に行って、店員さんと会ってみないと分からない。なんせ私は、この上なくメガネを愛しているメガネ屋さんを知っているからである。値段もデザインも二の次である。私はこの人からメガネを買いたいのである。そしてこの人にメガネをかけてほしい。フレームの調整をするときに何度かメガネをかけてくれるのだが、これがこの上なく気持ちいい~のである。

びっくりの質問

稲沢市成人大学(教養講座)で講演してきた。
演題は「芭蕉文学の本質~破壊と創造」である。最後5分残して話を終える。その後質疑応答。
 
二つ質問があります。一つは、「不易流行」について教えて下さい。もう一つは、奥の細道における曽良の役割について説明して下さい。

何れも今回の話には出てこなかった話題なので、ちょっと驚いた。しかしまあそういうことはよくあることなので、とりあえず簡単に説明する。説明があまりに簡単過ぎたかなあと思い、「それでよろしいですか?」と聞いてしまった。

はい、いいです。

ちょっとホッとした。ところがそこで質問は終わらなかった。

もう一つ、少し本題からずれますが、准教授と助教授はどう違うんですか?助教授がなぜ准教授に変わったのか、そのいきさつを詳しく説明していただきたい。

さすがに会場から笑いが起こったが、簡単に説明させて頂きました。はい。
そういうびっくりがあったが、受講されていた方はその方を含め、皆熱心に聞いて下さった。
とてもよい雰囲気の講座であった。

身の程を知る

 16日のNHKクローズアップ現代に、樹研工業の松浦社長が出ておられた。樹研工業といえども今回の不況は深刻で、昨年の売り上げはピーク時の2割まで一時落ち込み、今も半分程度にしか回復していない。それにも関わらず、リストラどころか、定期昇給も例年通り行ったという。松浦社長は、

 売り上げ半分でも10年はいいね。さすがに7割減ると3年くらいだな。それでも3年くらい平気だよ。

といって笑っておられた。番組の解説によると、それは逆転の発想によって蓄えた潤沢な自己資金(内部留保)だという。
 好景気でも融資による規模拡大を行わない。逆に不景気になるとそれまで蓄えた自己資金で設備投資を行うなど、攻めの経営に転じる。ライバル企業が借金で商品開発を控える間に差をつけるのだという。

 昨年武道部員と参加した講演会でも、「日本のような成熟市場で、規模拡大を考えるのはみっともない」「日本のような市場では、新技術を開発しなければ生き残れない」「自分たちは技術の質で勝負するのであって、価格競争はしない」というようなことをおっしゃっていた。
 さて、番組ではさらに次のようにおっしゃった。

 身の丈でやりなさい。自分のお金の範囲でやりなさい。

 われわれはアリの生活をしているんだ。
 お金の話に限定しなければ、身の丈でやる、かつアリのようにやる、の両立は、学問においても武道においてもとても重要であり、これほど難しいことはない、と思う。
 本居宣長は『うひ山ぶみ』でこう語っている。

 詮ずるところ学問は、ただ年月長く倦まずおこたらずして、はげみつとむるぞ肝要にて、学びやうは、いかやうにてもよかるべく、さのみかかはるまじきこと也。いかほど学びかたよくても、怠りてつとめざれば功はなし。
 又、人々の才と不才とによりて、其功いたく異なれども、才・不才は生れつきたることなれば、力に及びがたし。されど、大抵は、不才なる人といへども、おこたらずつとめだにすれば、それだけの功は有る物也。(白石良夫全訳注・講談社学術文庫)

 才能の有無は自分の力ではどうしようもないから、そんなことに煩わされても仕方ない。どんなに学び方がよくても怠けていては成果は出ない。逆に才能のない人でも、ただ長年、倦まず怠らず、励み努めさえすれば、その分だけの成果は出るのである。だから、
 ただ自分の身の程を知り、かつ最善を尽くし続けるのみである。
 ほんとうに難しい。……が、
武道については、身の丈でやることがちょっと出来るようになってきたので、これがまたとても楽しいものであることも分かってきた。
 要するに長年やっていて、ようやく身の程を知った、ということですね。

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