- 2009-01-18 (日) 21:29
- 日記
だいぶ前のことになるが、書いておきたい。
ある日、喫茶店でお茶を飲みながらスポーツ新聞を見ていたら、フジヤマノトビウオ、古橋廣之進氏(日本水泳連盟名誉会長)のインタビュー記事が載っていた。
長距離なんて頑張り、我慢比べの競争ですから。マラソンだってそうですよ。我慢して我慢してやれば、勝てるんですよ。
今どき珍しい精神論だなあと思いながら、読み進める。
自分の経験から言うと、一番泳ぐときは1日3万メートルですよ。それぐらい泳がないと、体ができてこない。魚になるまで泳げ、というのをひとつのモットーにしてね。
8時間か9時間ですよ。よく言うんだけど、僕が選手時代に泳いだ距離は6万キロ。地球1周半ですよね。それぐらい泳がないと、本当の水泳選手にはならねえよ、と。今も(日本)の自由形が弱いのは、みんな泳がないし、泳げないんですよ。精神的に弱くてね。
フジヤマノトビウオは一日3万メートル泳いだのだと知って、少し驚いた。また、今の選手は、精神的に弱くてそれだけ泳げないと、連盟の名誉会長がおっしゃっておられることにも、さすがに少し驚いた。しかしそれくらいなら特に何ということもない。
だが、私は次の発言を読んで、びっくり仰天したのである。
今の若い人たちは、泳がないからね。体だって魚みたいにならないですよ。タオル使って体ふいているようじゃあね。体をブルッと振ったら水がはじかれ、落ちちゃうようにならないと。水滴がポタポタたれるようじゃあダメなんですよ。
先に軽く読み流した「魚になるまで泳げ」というのは、こういう意味だったのだ。
現在どのくらいの水泳選手が「体をブルッと振ったら水がはじかれ」る身体を持っておられるのか、そしてこの身体が現代の水泳競技にどのように有効なのか、私は存じ上げない。
ただ、武道を修業する身として、フジヤマノトビウオの身体は驚異的という他ない。
もっとも、現代の武道家でこのような身体を持っている人がどのくらいいるのかも私は存じ上げない。沢山いるのかもしれないし、ほとんどいないのかもしれない。そんなことはどっちでもいい。
ただただ私は、それほど隅々にまで神経の行き届いた、柔らかい身体を私も持ちたいと思うだけだ。もっとも、そのために一日3万メートル泳ぐ根性は私にはないだろう。
やっぱり精神的に弱いのだ……
ということは、あながち前半の精神論も、古いとばかりは言ってられないのかもね。
(引用は、スポーツ報知(2008年1月24日)より。ただし、急いで書いたメモによるので、間違いがあるかもしれません。ご指摘的があれば訂正します。)
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