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追いコン

 7日の夜は武道部追いコン。
 事前にここでプレッシャーをかけ、さらにはじめに私が話をするという異例の追いコンであったが、終わってみれば、非常に特別な追いコンとなった。卒業生もそうであるが、在学生がこんなに多く涙を流した追いコンは初めてだろう。

 心配していた「一人一言」。在学生もよく出来ていた。とりわけ、面と向かって直接プレッシャーをかけられ、その日の御礼メールで、「期待しておいて下さい」と自らハードルをあげるという暴挙に出た幸美さんは、とても見事なスピーチだった。私が在学生の「一人一言」で涙を流したのは、初めてである。
 
 卒業生もそれぞれ印象深い話をしてくれた。今回の卒業生は9人。みなそれぞれに精一杯の努力をして、この追いコンの日を迎えることができた。
 
 今日、ここに立てることに、感謝の気持ちで一杯です。

 前に立ったとたんに号泣し、一つずつ言葉を慈しむように語り出した豊川くん。武道部員にとって、この日、この場所に立てることは特別のことなのである。技科大で武道部を卒業まで続けることは難しい。自分自身を変え、成長し続ければ誰でも出来るのだが、それまでの自分を頑なに守ろうとする人にはとても難しい。武道部では、そういうハードルを設定してあるのである。 
 彼も相当苦しんだが、黒帯になった頃からどんどん成長し、この場に立つことができた。心から祝福したい。
 期待していた荒川くんも、さすがだった。

 みんな95%くらいは回りのお世話になっているのだ。自分で努力できるのはせいぜい5%に過ぎない。その5%で自分が手を抜いちゃ、いかん。ごちゃごちゃ言ってないで、精一杯努力しろ!

と後輩を叱咤した。そして、

 久しく試割をしていないが、これまで自分は瓦を14枚しか割ったことがない。どうしても一枚残ってしまった。それが自分の課題であった。
 何枚割ったとしても、最後の一枚が割れないと、その先は見えないのだ。
 単なる思い込みかもしれないが、今日、ここに立っている自分は、最後の一枚が割れたかな、と思う。

 また、自分が絵実子さんと裕子さんにあこがれて稽古してきたことを告白し、武道修行における「あこがれ」の重要性を語った來原さん、部長としての成長を示した宇野さん、武道部メソッドの有効性を示す体験談を語ってくれた竹井くん、その他の卒業生、それぞれによい一人一言だった。

 OB・OGもそれぞれの思いを、涙ながらに語った。やはり長年一緒に稽古してきた者として感慨深いものがあったのだろう。
 さらに、翌日友人の結婚式が神戸であるにも関わらず、そのドレスをひっさげて大阪から裕子さんが来てくれた。荒川君と來原さんの演武を見にきたのだという。彼女の話はいつ聞いても「武道っていいなあ」と思わせる。武道は人に生きる力を与えるものだということを強く感じさせてくれるのである。
 私自身も、武道を、そして彼(女)らをもっと信じようと思った。

というわけで、とってもよい追いコンとなりました。

 ただ残念だったことが3つある。
 1つは、OB・OGの話が長すぎたこと。彼らは、何時に会全体を終わらせるつもりだったのだろう。その考えがなかったとしても、会場を出なければならない最終時間は決まっているのだから、残り人数と残り時間を考えれば、自分に許された最大時間は簡単に分かるはずだ。しかも自分より上位の者が後に控え、特に今回は裕子さんもわざわざ来てくれているのである。幹事も途方に暮れていた。それにも気づかなかったのだろうか?
 結局、会の途中で会場を出なければならなくなった。
 感傷的になり過ぎて全体が見えなかったのだとしても、分かった上で自分の感傷に溺れたのだとしても、いずれにせよ、武道修行者としてあるまじきことだ。少なくともそんな先輩を心から尊敬する後輩は一人もいないはずである。翌日のお礼メールで、幹事が時間配分のまずさについて謝ってきた。もちろん仕切りの責任は幹事にあるが、今回ばかりは、3年生にそれを求めるのはちょっと酷だと思う(甘いかも知れないが)。やはり先輩がきちんと配慮してやってほしい。
 もちろん上に書いたように、彼(女)らの気持ちは十分わかる。話自体はとても胸を打つよいものであった。それだけに、今回のことはとても残念だった。普段の稽古にこの甘さが出ていないか、もう一度よく見つめてほしい、と思う。
 2つめは、OBたちだけと二次会に行った卒業生がいたこと。これまた気持ちはよく分かる。だが最後のチャンスに、後輩を連れて行ってあげてほしかった。私は今回の卒業生は、自分の稽古はとてもよく出来たと思っている。だが一つだけ物足りないものがある。それが「先輩学」なのである。先輩として後輩をどう導くか。教師でも、師匠でもない先輩だからこそできるコミュニケーションがあるのである。それをしてもらった後輩は、今度は自分がそれを出来るようになってほしい。そういう伝統をきちんと構築してほしいと、各学年が揃ってきた頃から言い続けてきたのだが、やはり最後の最後でもそうだったかと、とても残念だった(OB・OGにも求めているのだが)。
 3つめは、その他の卒業生が在学生を連れて二次会に行ったが、行かなかった在学生が多くいたことである。
 これまた最後なのに、もったいないと思う。もっとどん欲に「人間」を求めようよ、みなさん。
 しかし逆にいうと、上に書いたように、先輩が後輩との繋がりをきちんと築かなかったということでもある。連れて行った卒業生が、在学生の少なさを残念がっていたので、「後輩たちが一緒に行きたいと思わなかったのだから、お前に人望がなかったのかもね」と言ったら、「そうかもしれません」と言っていた。

 そんなこんなでいろいろ複雑な追いコンだった。
 ただ追いコン自体の空気は、最高の追いコンだったことは間違いない。

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