- 2009-03-10 (火) 22:30
- 研究
幻住庵に行った。
蝶夢が建立したという石碑の調査である。幻住庵には、俳文学会第58回全国大会(2006年)の文学遺跡踏査でも連れて行って頂いたのだが、その時は私自身がその石碑のことをよく分かっていなかった。
駐車場に車を止めて、とくとくの清水のせせらぎと鶯の声を味わいながら、ゆっくりと登っていった。やはり、いい。
「芭蕉翁幻住庵舊跡」と刻まれた石碑はすぐに見つかった。だが裏面・側面とも摩耗していて読めない。これなら前に来たときも見たし写真もとったが、表面以外読めなかったので、それ以上の興味を持たなかったのである。
だが今回は、この石碑の調査に来たのである。これが蝶夢建立のものかどうかを確認しなければならない。保勝会の馬場さんがわざわざ幻住庵まで来て下さり、説明を聞く。馬場さんが持ってきて下さった本(昭和40年刊)のコピーによると、この石碑の裏面には「明和九年壬辰十月十二日僧蝶夢勧落陽湖南道弟建立」と刻まれていたとある。当時は読めたのだろうか。「裏面」と書いてあるが、側面についての記述はない。私の目には、側面は文字が彫られていることは分かるのだが、裏面はそれすらも分からない。側面は、目のいい人なら、あるいは工夫をすれば今でもたぶん読めるだろう。学内の研究室に頼んで、写真の画像処理をしてもらおうかな?
ともかく、実物から分かったのは以上である。たぶんこの石碑でいいのだろうと思うが、もう少し詰める必要がある。
ちなみに、この石碑建立の「由緒文」が書かれた木額が昭和55年に近津尾神社の倉庫から発見されたそうだが、現在は所在不明だそうだ。
さて、幻住庵の後、石山寺に行った。7年ぶりにご本尊如意輪観世音菩薩さまが御開扉されている。しかも間近で見せて頂けた。何ともいえない安心感があり、包まれるような感じがする。いいものを感じさせていただいた。
石山寺の「石」も実際に見るのは初めてだ。やはり写真と実物は全く違う、と改めて感じた。
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