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高専/技科大技術者教育連続化プロジェクト研究会

  • 2009-11-27 (金) 22:48
  • 研究

 高専/技科大技術者教育連続化プロジェクト研究会で発表。題目は、「自分を生かせる技術者へ」。
 武道部の卒業生が勤務する会社の新入社員について、いつも興味深い話を聞いているので、2人からその要点をまとめてもらったものを入れる。
 新入社員は高専や技科大卒だけではないので、一般的な傾向なのだろうが、専門的技術(能力)が非常に高い一方で、例えば、
・自分のアイデアが採用されないと分かると、とたんに不機嫌になり、グループワークに協力しなくなる。
・責任が生じることからひたすら逃げる。
・「仕事」という意識が薄く、市場調査に行っても、集合時間に遅れてきたり、就業時間内に勝手にホテルに帰ってしまう。
・フォーマットがないと何も出来ない。
・製品を使う人に対する配慮、気配りがない。
などなどの問題点があるという。私はそれらを全部まとめて「人間力」と呼び、「人間力」養成のプロジェクトを高専の先生と進めているというお話。

 一般的傾向かもしれないが、少なくとも高専や技科大の教育はそれでは困る。なぜなら、技科大の基本理念は、「豊かな人間性と国際的視野および自然と共生する心を持つ実践的創造的かつ指導的技術者を育成する」ことであり、そのために「透徹した物を見る眼、繊細で温かみのある感性、多元的な思考能力、グローバルな視野を培う教育を推進し・・・」と書いてあるし、どこの高専でも、教育目標として、「実践的技術者」とか「高度な技術者」を育成すると書いてある。つまり、そのような「者」「人間」「人材」を育成することを目標としているのであって、「技術を身に付けさせる」ことだけを目標としている高専(技科大を含む)は一つもないのである。

 では一体そういう「人間力」は誰がどこで養成するのか? 地域・家庭・学校という三位一体が壊れている現在、高専や大学でそういう教育をやる必要がないとはもはや言えない。
 では高専や大学で誰がやるのか?
 現在多くの教員は「それは自分の仕事(役割)ではない」と考えているのではないか?
 授業担当者でも、研究室の教員でも、その「内容」を教えることを自分の仕事と考えているのではないか?
 そうでない教員も多いが、それは「個人」に委ねられていて、連携も連続化もされていないのではないか?

 もちろんこういう教育は全員で時間をかけてやるのが理想的なのだが、とりあえず自分に出来るのは、授業と課外活動なので、そこで「コミュニケーション能力」と「人間力」を向上させる取り組みをしているということを話す。幸い、2つのプロジェクトには、それぞれ高専のスペシャルな先生が参加して下さっている(ブログからもそれぞれのプロジェクトのHPにリンクを貼っているので、高専以外の方も是非ご覧頂きたい)。

 「問題点は認識しているがこういう問題には答えがない」というコメントを頂く一方で、「現在、高専では一般科目(教養科目)はメインではなく、取って付けたような扱いになっているが、専門教育よりも、むしろ一般科目(教養科目)で高専と技科大の教育の連続化を考えることが有効なのではないか」というコメントも頂き、大変勇気付けられた。

 ところで、この研究会、技科大の駅前サテライトオフィスで開催された。私は初めて行った。発表を聴講中にトイレはどこかなと思ってちょっとキョロキョロした。すると私のその「気」の動きに反応して、部屋の隅に座ってパソコンで何か作業をしていたバイトの女性がこっちを見た。「おっ、なかなか気の利くいい子やな」と感心してよく見ると、何と武道部の第8代部長だった。お互いびっくりである。

 私の僅かな気の動きに敏感に反応できるほど成長していたことが嬉しかったので、武道部のことを話しているときに、「あそこに座っている女性が2代前の部長です」と言ったら、「なんだ、それで鍛えられているのか」と高専連携室長も仰って下さった。きっと評判がいいのだろう。「人間力」養成の取り組みの発表に、その生きた実践例となる彼女がいてくれてとてもうれしかったし、また有意義な発表になったと思う。

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