- 2011-01-04 (火) 22:43
- 日記
4日。
夕食後、ノルウェイの森を観に行く。『ノルウェイの森』は私にとって特別な小説である。
でも今思うと、これが『ノルウェーの森』だったらたぶん私は買わなかっただろう。なぜか「ウェイ」に異常なエロスを感じたのである。そして読む前にあれだけ売れたら、あの頃の私なら、絶対読まなかっただろう。
だが私は幸運にも読んだ。そして震撼した。それ以降、初期からある時期までの村上春樹の文章は可能な限り全て読んだ。しかし『ノルウェイの森』を決して読み返すことはなかった。私にとってはそれほど特別な小説だったのである。
映画は予想以上によかったと思う。全体の空気としていい感じが出ていた。もちろん私のイメージと違うところはたくさんある。直子も緑も私のイメージとは違うし、永沢さんもどうか、と思う。でも直子、菊地凛子がとてもよかった。もう少し「普通」の直子も描いてほしかったとは思うけど。
。緑は私のイメージとは全く違ったのだが、ああ、なるほどそういうことね、と楽しめた。
ただ、私にとって、僕の存在の危うさというか、自分がやっていることの意味がうまくつかめないにも関わらず、そうせざるを得ない感とその感触の戸惑いみたいなものが、とても大切なのであるが、それを描ききっているという感じはしなかった。その象徴がラストシーンである。もちろんあれもアリなのかもしれないが。
映画では、僕も直子も緑も礼子さんも、それぞれの存在の危うさと内面の変化をあえて前面に出さなかったのだと感じた。愛し合うーーといっていいのかどうか、たぶん言わないのだろうーー、求め合うシーンの多さもそのひとつなのかも知れない。でも私には、彼らと彼女らが必死になって求めていたもの、それが重要なのである。もちろんそれは映画全体がちゃんと伝えているとみる人もいるだろう。でもね……
などなど、いろんなことを考えた。もうそろそろ『ノルウェイの森』をじっくり読み返してもいいかも、と思う。
ところで、村上春樹と村上龍が昔出した対談本を『ウオーク・ドント・ラン』という。常人歩人さんは、I will walk but never run. 一緒ですねえ~
そういえば、『海辺のカフカ』にはジョニー・ウオーカーさんも出てくる。ひょっとして、春樹ファン??