- 2011-09-16 (金) 18:19
- 日記
以前このブログにも書いた寺田ヒロオ『もうれつ先生』。もうれつ先生の猛烈流は、柔道着を着ない。それは相手に捕まえられないように心がけるためである。同じ事が、寺田ヒロオのもう一つの漫画、『暗闇五段』にも出てくる。
黒ひげさんが五船十段に言う。
五船さん、広道館は、柔道をだらくさせましたぞ!!
柔道着をつかみすぎる。柔道というより、ダンスに近いよ。(上63頁)
そして、黒ひげさんの鬼天流のこつを説明する。
ひとつ、相手につかまるな。
ふたつ、つかんだ瞬間に投げよ。
この柔道着を掴む問題に関しては、講道館の創始者嘉納治五郎先生も、襟と袖をがっちり掴む柔道は初心者用であって、上級者が用いるべきでないと述べておられる。
残された文章を読めば、嘉納先生がいかに柔道の可能性を広く考えておられたかがよく分かる。競技化も、それ自体を否定していた訳ではない。ただ競技は柔道のごく一部に過ぎず、柔道はもっと広く、もっと深いのだと説いておられたのである。
残念なことに、それに本気で耳を傾ける人はごく僅かしかいなかったのである。
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