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榊プロデュース・第14弾プレステージレクチャーズ/テーラーメード・バトンゾーン教育・異分野融合特論講義

  • 2011-07-07 (木) 19:43
  • 日記

講演会を聴講。

榊プロデュース・第14弾プレステージレクチャーズ
テーラーメード・バトンゾーン教育・異分野融合特論講義

日時:2011年7月7日(木)14:40~16:10  
会場:A2-101にて
講師:吉野 彰氏(旭化成フェロー)
講演内容:リチウムイオン電池の実例に学ぶ研究開発成功の秘訣

前半はリチウムイオン電池の開発経緯の話で、化学式とかがいっぱい出て来て、話自体はよく分からなかった。後半は、事業化の話と将来的な話だったので非常に面白かった。

研究に必要なのは、「脳天気」と「執着心」だそうだ。
なるほど。

シーズとニーズはどっちが先かなんてどうでいい。考えても意味がない。
そりゃあそうでしょう。

非常に面白かったのは、これだ。

15年後を見越して研究を始めたのか?
いいえ。

では未来とのコミュニケーションをしなかったのか?
いいえ。さりげなくやっていました。

15年後を見越してやるなんて無理だ。しかし、「未来からの信号」は確かに来ている。これをキャッチできるかどうかが重要だというのである。

ほんとうに大切な信号はいつでも「さりげなく」やってくる。それは未来からの場合もあれば、過去からの場合もあれば、自然からの場合もあれば、他人の場合もある。このどこからかやってくる、そしてどこからでもやってくる「さりげない信号」に対する感度こそがその人の豊かさと奥深さをつくるのだろう、と思う。

今回の吉野さんのお話も、「さりげない信号」がちりばめられていた。それをさりげなくキャッチした学生は、これからその種を大きく育ててゆくに違いない。だからその「さりげなさ」を壊すような不粋な質問をしてはいけない、そう感じさせる、見事な講演だった。

多くの人は「さりげなさ」の頼りなさに不慣れである。だからその「さりげなさ」を確実なものとしたいと思って、確かめたくなるのである。しかし確かめようとすればするほど、その「さりげなさ」は逃げてゆく。つまり、ほんとうに大切な信号(メッセージ)は逃げてゆくのである。

あなたはほんとうに私を愛しているの? ほんとうに? ほんとうに?

確かめれば確かめるほど、愛は逃げてゆくのと同じである。

ほんとうに大切なメッセージは、その「さりげなさ」の淡さの中にだけ存在することができる。その淡さの頼りなさを大切にできる人だけが、それを深く受け止めることができるのである。
コミュニケーションの本質とは、まさしくそういうものなのである。

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