- 2012-06-30 (土) 23:51
- 日記
29日、講演会。
小泉英明 氏(株式会社日立製作所 役員待遇フェロー)「応用脳科学の新展開」
私はよく知らないけれども、「偏光ゼーマン原子吸光法」というものの原理を創出された方である。しかも、それがあまりに普通に普及し過ぎていて、海外ではもう歴史上の人物(故人)と思われていることもあったという。光トポグラフィ法を開発されたのも、小泉氏だそうだ。
非常に温和で品のある話し方で、聞いていてとても心地よかった。学生の質問にも丁寧に答えて下さった。講演内容は脳科学におけるご自身の手法の様々な分野への展開例についてで、非常に感動的な話もあった。
前回の藤田氏もそうであったが、本当に優れた研究者は、温厚で品があり、かつ謙虚なのだと思う。小泉氏も、自分たちの手法で全てが解明できるなんておこがましいことは考えていない、とおっしゃった。
昔、「 科学で全てが解明できる訳ではない」と私がいうと、「少なくとも科学者はそれを信じてやるべきだ。今はまだ未発達なだけで、将来的には科学で全てが解明できると。」と言われたことがある。そのときは、科学者がそう信じるのは仕方ないかも、と思ったが、おそらく優れた科学者は、そんなことは考えていないだろうと思う。目の前の解明したい難題があり、それを解明することが、自分にとっても、社会にとってもいいことだと思えたとき、それに全力で挑戦するのみであろう。チャレンンジしない人が、ロマンチックな科学万能主義を唱えているに過ぎない、そう思わされた講演会であった。