図録解説によると一昨日展示を見てきた岸田吟香が関わった『海外新聞』の第二号にこうある。
童子之輩にも読なんことを欲すれハ文章之雅俗は問わずして
子どもにも読んで欲しいと思っていたのである。また『もしほ草』でも、新聞が普及しないのは「これを編集する人のみづから学者ぶりて、むづかしき志那文字まじりのわからぬ文を用ゐる」からだと述べている。
本当の力がない者に限って、難しく言いたがるものなのだろう。
吟香の苦労とは比ぶべくもないが、私も少しばかり抵抗したことがある。院生の頃から、学術論文も平易な文章で書くべきだと主張し、そうしてきたのである。もちろん最初の頃は、お前の書く論文は「論文の文章」ではないと大バッシングを受けた。
今となっては懐かしい思い出である。
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