- 2014-02-01 (土) 20:37
- 日記
昨日、ようやく「かぐや姫の物語」を見に行った。
圧倒された。
水彩画のように描かれた絵は最高に美しい。
そしてなによりそこに描かれている人間観の迫力に驚いた。
ストーリーはほとんど変えていない。これにも驚いた。
この映画は、1988(昭和63)年に同時上映された『火垂るの墓』と『となりのトトロ』と同様、宮崎駿さんの『風立ちぬ』とセットである。セットというより、アンチテーゼである。
美しいもの、最高の技術に興味をもち、現実感の極めて薄い『風立ちぬ』の堀越二郎に対して、『かぐや姫の物語』の登場人物たちは、圧倒的にリアルである。子どもを授かったとき、子どもと別れるとき、様々な場面で現実の人間はどのような表情をしてどのように感じて振る舞うのか。どのように涙を流すのか。笑うのか。
人間は現実を生きている。
『風立ちぬ』に感動して、宮崎駿さんの時代感覚に驚嘆していたが、この『かぐや姫の物語』も、それを凌ぐスケールと迫力で、まさしく今作られるべき映画であると思った。
SF古典物語である『竹取物語』をそのままのストーリーでこれほどの迫力をもって人間の現実を描けるとは。
最後に、私が一番印象に残った描画は、何と言っても髪の毛の描画であった。
まるで生きている。
こんな映画を作られたら、宮崎さんも引退できないのではないか。
本気でそう思った。
20年後にどちらか1本と言われたら、私は間違いなく『かぐや姫の物語』を選ぶだろう。