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羽合:人鷹一体

鷹狩り用語に「羽合」(あはせ)というのがある。

「羽合」は日本の鷹匠の独特な猟法の一つで、鷹に加速をつけてやるために、拳から鷹を獲物に向かって投げるように押し出すことをいう。(大塚紀子『鷹匠の技とこころ-鷹狩文化と諏訪流放鷹術』白水社162頁)

昨日私もこれをやらせて頂いたが、かなり難しい。

鷹と鷹匠が呼吸を合わせて、これをうまく成功させたときの技の境地を「人鷹一体」といい、これが、鷹匠が追求する究極の感覚である。(略)カモ猟などで鷹匠が十分に寄せたのち、絶妙の頃合いで羽合が成功したとき、それはまるで自分の拳が伸びたかのように感じられ、鷹の動きが線を描くかのように明確に見えて一瞬で捕らえることができる場合がある。この時の感覚は「羽合拳」といわれる。(同163頁)

鷹を据えているとき、左手の力みをとらないといけない。それは分かる。じっと立っているときは、なんとなく出来た気になった(たぶん錯覚だろうけど)。しかし羽合せようと体を動かし、手を動かした瞬間、手に力が入ってしまった。そしてその瞬間、鷹(の心)が私から離れるのがはっきり分かった。その後鷹は力なく飛んでいった。武道をやっているのに情けない話であるが、私にはとても難しかった。が、とても面白かった。

大塚さんの著書には名人と言われた鷹匠の羽合の写真が掲載されているが、その力みのなさは見事である。

もう1回やったらもう少しうまく出来る気がする。もちろん気がするだけである。でも何事もそうやって上達してゆくのだろう。もう1回、もう1回、といって。

今度やったら、前よりは少し上手くできるような気がする。

そういう希望が、修行を継続させてくれる。
だからまたチャレンジしたい。

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