- 2012-05-28 (月) 9:21
- 日記
3月16日に吉本隆明さんが亡くなったとき、ひとことだけブログに書いた。
それ以来、私の中で感覚をしばらく寝かせていたのだが、ほぼ2ヶ月半が過ぎて、竹田青嗣師匠の追悼文「正しさから見放される体験」(『群像』2012年5月)を読んだ。
心震えた。
自分の個人的な吉本体験、吉本思想の核心、吉本の思想史的位置づけ、吉本思想の現代的意義。僅か2頁の中に、追悼文に必要なものが全部、静かに深く、かつ正確におかれている。そして、そのことによって「吉本隆明とは何であったのか」が鮮明に描かれている。
文章を読んでこれほど感動したのは久しぶりである。吉本さんの追悼文は数多く書かれている。「最高の追悼文」は、それぞれの吉本観によっていくつもあるだろう。しかし、今、これほどの追悼文を書けるものかきを、私は他に知らない。敢えていえば、性質は全く異なるが、加藤典洋さんくらいだろう。加藤さんのはまだ読んでいない。加藤さんのと橋爪大三郎さんのは、これからゆるりと読みたい。
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