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持てない手

 今日は大学主催のリーダーズ研修会(各サークルの現部長と次期部長候補の研修会)に4人参加しており、欠席。うち二人は武道部以外の部としての参加で、武道部員が他のサークルでも信頼されていることが伺われる(しかし兼部とは大変ですね)。

 今日は全員に三戦、茶帯に砕破を教えた。昔は入門したら2年も3年も三戦ばかり稽古したという話をよく聞くが、三戦はそれほど大切な形である。しかし「大切だ」と頭で分かっていても、続けられない者も多い。三戦を、そして武道を続けるコツは、その都度の状態を敏感に感じ、それと対話し、またやって感じる。その喜びを味わえる感性を育てることである。というよりも、三戦をやっていると自然と育ってくる。余計なことを考えて、その邪魔をしないことである。
 何度も何度も、そして何年も何年も三戦をやっても、新しい感覚があり、新しい発見があり、新しい喜びがある。もちろん新しい困難も。これが面白くて面白くて仕方ない。
 そしてその面白さが、帯が上がるに従って増してくるのである。白帯も色帯も黒帯も、ぜひ味わって欲しい。

 もう一つは、茶帯の砕破。仄聞するところによると、池尾部長は、リー研に行くのを嫌がっていたらしい。今日、茶帯に砕破を教えることを知っていたからである。そして1回抜けることの大きさを十分認識しているということである。

 もちろんそんなことは一言も言っていないのだが、武道部の長期的な稽古の流れと私の指導方針、性格などを考えれば容易に想像がつく。池尾部長もそれが分かるようになり、かつ先回りして考えられるようになったということだ。嬉しい限りである。
 これまでのことを総合的に判断して、これから何が起こるかが予想できること(本当は「予想」ではないのだけれど)、これは武道には不可欠である。毎回の稽古にそういう参加の仕方をしている部員とそうでない部員がいるが、差は歴然としている。
 そういえば、今スイスのバーゼルにいる荒川くんは、黒帯の稽古会には、いつでも稽古内容を予想して参加していた(黒帯の稽古会では、数週間前にテーマが知らされる)。もちろん私にはそれを満足させ、かつその予想をよい方に裏切ることが課せられていた。これがなかなか楽しいのである。
(荒川君、留美子さん、演武会へのメッセージとお菓子ありがとう。パーティーでみんなで美味しく頂きましたよ~)

 閑話休題。茶帯に、掴まれた手を外す約束組手を説明していたとき、いつものようについ調子にのって、「持てない手」をつくってみた。すると石井くんが、「これは……」と言って動かない。「これは……、掴めません……」。何も感じない人は、とりあえず掴むことはできるのだが、武道の感度が上がると、掴めなくなるのである。
 1年とちょっとでここまで来るとは、びっくりである。

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