- 2010-07-19 (月) 9:42
- 日記
めちゃくちゃに忙しくて全然更新できなかった。頑張って追いつきたい。
さて、7月16日(金)は、竹中工務店東京本店で開催されている「棟梁-堂宮大工の世界」の記念シンポジウム「西岡棟梁が残したもの」に行ってきた。
http://www.dougukan.jp/toryo/content/reports/report_tokyo_1.html
パネリストは小川三夫さん、建部清哲さん、菊池恭二さんという超豪華メンバー。
早めに到着して展示を拝見。予想以上に人が多くて驚いた。うろうろしていると、小川さんに遭遇。少し前に出したお手紙も読んで下さっていた。しばし雑談。初めて握手して頂いた。
そうこうするうちに菊池さんも来られた。菊池さんとは初めてお会いするので、ご挨拶をして、記念写真などをお願いする。菊池さんとも握手をして頂いた。後日、なんと日本文化論を受講している学生の実家のお寺さんの本堂を菊池さんに建ててもらったという学生がいたことが判明。でもこの時は知らなかったのでその話はできなかった。
ところで、小川さんも菊池さんも、他の方と話しておられるところに私が近寄っていったのであるが、お二人とも、私が近づくのを感じて、丁度よい距離まで近寄ったときに、ふとこちらを振り返られた。棟梁というのはそういう気をきちんと感じられるのだろう。さすがである。
早めに2Fのシンポ会場へ。これまた予想以上の人数だった。司会の谷先生の名捌きもあり、とても面白いシンポジウムになった。
小川さんの気遣いとその存在感は圧巻だった。それだけでしびれた。
お三方が代わる代わるお話になる話は、どれも興味深く、勉強になった。興奮しっぱなしの至福の1時間半であった。
既に本で読んで知っていたエピソードも多かったが、やはり本で読むのとご本人の口から聞くのとでは全く違う。生の声の大切さを痛感した。
とても興味深かったのが、三人とも「西岡常一棟梁に弟子入りしたい」と強く思って弟子入りされたのではないことであった。ほとんど「偶然」、あるいは「間違って」といっていい。そして三人とも「宮大工を続けてきてよかった」とおっしゃっておられたことである。人と人との出会いとはこういうものなんだろう。茂木健一郎さんが「セレンディピティ」(偶然幸運に出会う能力)の条件として、「行動すること」「気づくこと」「受け入れること」を挙げておられるが、まさしくその通りである。
また以前私も質問した「最近の若者の気質」について、今回も司会の谷先生が小川さんに質問された。私が聞いたときと同様、「最近の若者は確かに違うなあ」とおっしゃったものの、だからといってそれは特別なことでもないような感じだった。おそらく小川さんには「最近の若者は」という発想自体がないのではないかと感じた。いつでも目の前に若者がいて、彼らを育て、ものになる者とならない者がいる。そして目の前の仕事を続けてゆく。ただそれだけなのかも知れない。
そして何より印象深かったのが、小川さんが浄瑠璃寺に遊びに行って帰ってきた時に、草むしりをしていた西岡棟梁の背中がとても怒っていたというエピソードである。この話自体は『木のいのち 木のこころ』に書かれているが、その時の西岡棟梁の気持ちを小川さんが、
悔しかったんでしょうなあ
とおっしゃったことである。これにはびっくりした。と同時に私にもとてもよく分かった。
そして今回初めてお会いした建部さんも、とても魅力的な方で、一瞬にしてファンになってしまった。
帰りの新幹線でも興奮しまくりの一日だった。
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