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棟梁ー小川三夫さんトークショー

  • 2010-11-28 (日) 23:48
  • 日記

28日。「棟梁ー堂宮大工の世界」展、小川三夫さんの講演(トークショー)。
東京の時にも行った巡回展である。神戸のツアーには抽選で外れたので、今回楽しみにしていた。
午前中、展示の見学。何度見ても素晴らしい。道具館の館長さんが展示説明をして下さった。これが実に熱のこもった解説であった。
好運にもまたしても講演前に小川さんに会えた。ご挨拶と立ち話をちょっとして、早めの昼食。その後、会場入口で並ぶ。開場してからもどんどん席がうまっていき、開始前に400席余り用意された席が満席となった。
 私の最大の目的は、小川さんの存在を感じることなので、講演前にもうほとんど目的を果たしていたが、その後2時間、その存在感を十分堪能できた。
 「欲を出したらあかん」。もちろん小川さんはそうおっしゃった訳ではないが、小川さんに会うと私はいつでもそう感じる。「欲を出したらあかん」。だから、今日も会えただけでもう大満足なのである。
 しかし幸せなことに講演も聞けた。しかもいつものようにとても面白い。昨日のエントリーとの関連でいうと、これは前にも聞いた話であるが、小川さんは、お弟子さんの、鉋をかけたい、かけたいという思いが満ちてきて、ここ、と言うときに鉋を貸してやるのだそうだ。その時、自分が持っている一番いい鉋を貸してやらなければならない、そうおっしゃった。そうすれば、その次から、そのお弟子さんは、見違えるようになるのだそうだ。研ぎなども全く変わるという。これが、昨日書いた、「手をさしのべる」ということである。教えるのではない。弟子に感じさせるのだ。ふさわしい「時」に、ふさわしい実感をさせる。この「一番いい鉋でなければならない」というのが私には非常によく分かる。今までの自分の研ぎと鉋かけは一体なんだったのだと思うに違いない。そして本当の鉋かけの感覚を一度味わってしまったら、もう止められない。もう一度味わいたくて仕方なくなるだろう。今度は自分の鉋で。

 今回印象深かったのは、質問に対する小川さんの答えである。大工さんを目指している小学生からの質問。

一本の木に何回くらい鉋をかけるのですか?

小川さんはこう答えられた。

その大工さんが、もうこれでいいと思うまでかけるんです。

感動した。さすがという他ない。

 終了後、学生たちと夕食、さらには二次会へ。こちらも楽しく時を過ごせた。

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