兼務している建築・都市システム学系の3年生に対する研究室紹介があった。私も参加。
兼務教員の研究室は学部生は各学年上限1名と決められているし、研究内容から考えても私のところにくる学生はほとんどいないと思われるのであるが、この研究室紹介は、実は「単なる呼び込み」ではないのである。
この研究室紹介は、原則としては、全教員が全学生(3年生)に現在行っている研究内容を説明するというイベントである。この意味するところは、少なくとも、自分にあまり興味のない領域も含めて、建築・都市システム学の一通りの研究の最前線を理解して下さいね、ということなのである。そして学内再編で私たちが兼務教員になったのは、建築・都市システム学を学ぶ学生に、人文社会の価値観や素養を身に付けて欲しいということであった。だから私が参加して、私が大切だと思うことを伝えることには、大きな意味があるのである。
そしてもう一つ重要なのは、各教員のプレゼンテーションを見てね、ということである。
これから研究室に入ってプレゼンをする機会も増える学生に対して、各教員がプレゼンの見本を見せるのである。僅か5分の間に、自分の研究の何をどのように紹介するのか。そのお手本を示す必要がある。教員は大変である。言い訳はできない。しかし高度なテクニックを駆使する必要はない。上手い下手もどうでもいい。ただこういう場面で、逃げたり誤魔化さずに真正面から向き合える人間かどうかを学生さんは見ている。そして自ずと現れれる各教員のプレゼンの個性から、いろいろ学んでくれるのである。
各教員はそういう思いを持っているはずである。
研究室紹介は単なる「呼び込み」にあらず。
そのイベントで学生に伝えたいことは、他にある。
そうしてそれを受け止め、さらには、私たちが意図しなかったことまでをも受け止めてくれる。
そういう場になれば、このイベントは大成功である。
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