日本文化論では、私の考える「武道」の思考法や価値観を語っているのであるが、批判的な反応の典型的なものの一つは、次のようなものである。
自分はある程度理解できるし、いいと思う点もあるが、効率を求められ、競争に晒され、結果を求められる現代社会では受け入れられないだろう。
自分は認めないこともないが、社会が認めないので無理だ、というのである。
私がこの授業で学生に説いているのは、まさしくこのようなマインドの相対化である。時代や社会のせいにしないで、自分自身が、自分の全責任においてどう考え、判断し、行動するか。そういう思考があることを説いているのである。
もちろんそれは理解してくれていると思う。しかしそれほど「時代が…、社会が…」思考は強力で根が深いのである。
技術者を目指している学生たちには、ぜひその時代と社会の価値観を変えるようなものづくりをしてほしい。そういう技術者になってほしいと願いながら、授業をしているのである。
採点が終了すればしばらくは夏休み。後期もまた熱く語りたい。
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