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2009-12

村上春樹の小説は読み応えがない?

 昨日、村上春樹を読む授業のことを書いたが、2学期にこう言っていた学生がいた。

 村上春樹の小説は読み応えがない。

 ほう、。通俗的ということか、深さが足りないと言っているのか、と聞いていると、

 起承転結がハッキリしていない。例えば星新一のショートショートは、起承転結がハッキリしていて、最後にきちんと謎に答えて終わる。だから、読んだあとすっきりする。それに対し村上春樹は、謎がきちんと解かれていない。読んだ後もやもやが残る。作者がきちんと答えを出さず、読者に委ねている。だから、星新一などに比べて、村上春樹の小説は読み応えがない。

 えっ??? それって「読み応え」の意味を間違ってるんじゃないの? 私は別に村上春樹と星新一を比べて云々する気はないが、起承転結がはっきりしていて最後に謎が全て解かれる小説が読み応えがある小説であるというのは。でも、なるほどそれで学生はミステリーが好きなのか、と妙に納得してしまった。

 文学を読む楽しみって、その「もやもや」じゃないの?

 と聞いたら、

 でもはっきりした答えがほしいです。

 どうもこの「もやもや」の責任は、作家の思考、あるいは力量不足と考えているようなのであった。
 もちろんこう考える学生がほとんどなのではない。ときどき文学部的な発想を超えた意見が出てくるので私としてはとても刺激的である。しかもこういう学生とよく話してみると、結構面白かったりするのである。

 でもこの「もやもや」の醍醐味も味わえるようになってね。なんせ人生は「もやもや」ばっかりなんだから。

単位と村上春樹

 12月2日。
 今日から私の3学期の授業開始である(3学期は12月1日から)。2限は村上春樹。2学期の短編に引き続き、3学期は『ノルウェイの森』と『1Q84』を読む。
 どのくらいの学生が来るかな、とちょっと期待をして教室に行ってびっくり。なんと激減である。前にこのブログで、2学期に激増したことを書いた(こちら)が、3学期になってもとに戻ったのである。来た学生に理由を聞いたら、やはりほとんどの学生は「単位が揃ったからだろう」ということだった。たぶんそうだろう。村上春樹をもう読みたくないという学生もいるだろうし、私の授業がもう嫌だという学生もいるだろう。でも、例年、3学期にこんなに減ることはない。単位が揃っても、2学期まで出たら3学期にやめる学生は少数だった。もちろん制度上は学期毎に分かれているのであるが。

 とはいうものの、もとに戻っただけで2学期が異常だっただけである。しかし、いくら私の授業の魅力がないとはいえ、世界の村上春樹が単位に勝てないとは。

 3限はやや増えた。例によって授業のハードさを説明したら数人出ていったが、結局空新しい受講生が2人。新鮮なプレゼンやディスカッションをしてくれることを期待している。

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