ホーム > 過去ログ > 2009-08

2009-08

日本高専学会(続)

 三木先生「課外活動を利用した創造教育-低学年からの技術者教育」の研究発表を拝聴。概略は前の全体会議でお聞きしたが、やはり何度聞いても面白い。だんだん三木メソッドのマジックが分かってきた。その一つは、「教員はできるだけ手をかけず楽をし、かつ楽しむ」というものである。プロジェクトメンバーの三崎先生も同じだし、前に紹介した田尻悟郎さんも同じである。だが真面目な先生であればあるほど、この逆説の理解が困難である。
 「手をかけずに素晴らしい成果をあげておられて羨ましい」という聴衆からのコメントがあったが、実は、手をかけないからこれほどの成果が上がっているのである。そのあたりの秘訣をメソッドとして取り出し、多くの方に共有してもらおうというのが、私のプロジェクトの狙いである。

 さて、その後は私の研究発表。「「人間力」養成の試み~日本語コミュニケーション教育と課外活動指導~」。二つのプロジェクトの私の実践をまとめて発表。
 企業の方から、「本来人間教育は企業文化という観点から、各企業が独自に行うべきだが、種々の事情があり、現在企業でできることには限界がある。だからこのような試みを大学でやることは、大変価値のあることだ」というコメントを頂く。なるほど。私は、「大学で出来ることと出来ないこと」、「企業で出来ることと出来ないこと」をきちんと考えていなかったので、大変参考になった。
 その他、高専の先生や、本学の先生からも色々コメントやメールを頂いた。何人かの方に強い刺激を与えることができ、また私自身もそれによって新しい発見があり、とてもよかったと思う。
kosengakkai.JPG

 前のセッションが長引いていたので、会場前で待つ。何か、楽屋の風景みたいですね。
撮影は絵実子さんです。

日本高専学会

 28日~30日まで、本学で日本高専学会第15回年会講演会が開催されている。

28日は、既に書いたように、併催されている高専連携教育研究プロジェクトの学生成果発表会。
29日は、今年度からプロジェクトメンバーになっていただいた奈良高専の三木先生と学生さんの、奨励賞受賞式と受賞講演。三木先生は、先週の教員研究集会で2年連続、3回目の文部科学大臣賞受賞、その一週間後に日本高専学会で奨励賞受賞と、受賞ずくめの二週間である。素晴らしいですね。
 午後、日本語コミュニケーションの方のプロジェクトメンバーである有明高専の焼山先生と打ち合わせ。こちらも有意義な打ち合わせができました。
 前に書いた喫茶店にご案内したところ、珈琲の味はもちろん、テーブルや壁、店の雰囲気など、大変気に入って頂きました。
 明日は、三木先生と私の研究発表である。

プロジェクト学生成果報告会

 8月28日~30日の日本高専学会に合わせて、高専連携教育研究プロジェクトの学生成果発表会があった。
 私のプロジェクトからは、八代高専の谷くんが発表してくれた。
教育プロジェクトでは唯一の発表で、副学長や高専連携室長などに頑張って説明してくれた。人間力養成の、非常によい実践練習になったようだ。
お2人の様子はこちら
 夜は、谷君と岩﨑先生を囲んで、武道部員と夕食会。都合12名で楽しいひとときを過ごした。 

 翌日、2人は武道部の稽古に参加して、お帰りになりました。
 谷君、岩﨑先生、お疲れ様でした。

演武会報告会と研修会と形講習会

いろいろあって、だいぶ更新をサボってました。
大変遅ればせながら、メモ程度に書いておきます。

8月22日、武道部の稽古後、二つ行事があった。
まずは、武道部第5回演武会実行委員会による、部内報告会。
いろいろ問題があったが、なんとか終了。実行委員はもちろん、部員たちにとっていい経験になったはずである。重要なのは、実行委員ではなく、報告を聞いた部員がどのくらい勉強できたか、である。

その後、平成21年度第1回研修会。
今年度は研修会もコモンズ会もできず、ようやく第1回研修会ができた。ただし、報告会の時間がかなり伸びたので、簡単にすませる。
今回は「先輩」の役割についても話す。だが、数日後の出来事を見ていると、今のところ効果は出ていない。これからに期待したい。

その後、尚志館の稽古に行く。

8月23日は、制引鎮特別講習会。
今回は、かなり難しかったようで、ほとんどの人から「難しかった」とメールが来ていた。ちょっと張り切り過ぎました(^^;

「人間力」養成プロジェクト全体会議

 高専連携教育研究プロジェクト「技術者教育としての課外活動の可能性の提示と「人間力」養成メソッドの開発」、第1回全体会議を行った。豊田高専での研究集会から中1日にも関わらず、函館、沼津、福井、奈良、詫間、八代の全国各地から、実に「濃い」メンバーが集結してくれた。さらに今回はオブザーバーとして、武道部部長の池尾君、第5回演武会実行委員長の加藤さん、稽古に来ていた栄養教諭の栗田さんが参加した。

 優れた実践を重ねてこられた方の報告は、とても刺激的だ。さらにそこから繰り広げられるディスカッションが、これまた面白い。その場でどんどん新しいものが生まれていくライブ感があり、とてもワクワクした。おそらく全員が新しい種をもって帰られたはずだ。私もしっかり頂いた。大事に育てたいと思う。

 圧倒的な実践をされておられる方は、みな共通してとても明るい。その明るいパワーで、学生も地域社会も全部巻き込んでいくのである。そして何より、それを心から楽しんでおられる。
 なんせ最初に書いたように、18~19日の豊田から中1日で再び豊橋に集結したのである。しかも三木先生と岩﨑先生は、28日からの日本高専学会にも来られるので、2週間で3回の来豊である。楽しくなければやってられない。
 
 そもそもこのプロジェクト自体がそうである。みんな「面白そう」だから集まったのである。昨年提案書を書いたとき、1人も応募者がいないかも、と本気で心配した。だったら自分が心底大切だと思い、かつ楽しめる内容にしようと思った。すると、「こんなけったいなこと考えてる人がおんねんな。なんか面白そうやんけ」と(それぞれの方言で)思って、集まって下さったという訳である。
 自分がまず開くこと。その上で、それに共感してくれる人を待つ。という私がいつも学生に言っているやり方をここでも実践したのであるが、それにしてもこんなスペシャルな人が集まるとは夢にも思いませんでした。

武道部再開

 お盆休みが明けて、武道部の稽古が再開した。大阪から裕子さんが来てくれたので、指導してもらう。さすがによく見ている。

 裕子さんと一致した意見であるが、昨日は紫帯が非常によかった。逆に緑帯は変な癖がついていた。お盆休みに自分で間違った稽古をしたのかもしれない。いずれにせよもうすぐ審査である。それまでどれくらい上達できるか、こちらも楽しみだ。継続的に上達するためには、この審査をうまく利用することが大切である。
 かつて入部して二週間で審査をうけた者がいた。

 二週間しかないのに受けてもいいのでしょうか?

 あほ、二週間もあるやんけ!二週間もあったらどれだけのことができるか考えてごらん。「二週間精一杯やろう」と思って必死に頑張った二週間は、たとえ不合格になったとしても、きっとその後の財産になるよ。
 受けるのと受けないのとでは、その二週間の充実度が全く違う。確かに彼は、二週間必死に稽古し、紫帯になった。そしてその3ヶ月後の大会で組手(色帯)の部で優勝してしまった。この時も、彼には一つだけ技をおしえ、それを徹底的に稽古させ、それ以外の技を出さないように教えた。彼は三ヶ月間、それだけを稽古した。そして見事に優勝したのである。もちろん色帯の部だったからではあるが、もし彼が二週間という期間を「二週間しかない」と考えて審査を受験しなければ、その後の大会での優勝もなかっただろう。優勝するしないは別としても、その後の彼の空手人生はまた違ったものになっていたに違いない。
 彼は、今、泰斗武館の館長をしている。

教育教員研究集会

 18日と19日、国立高専機構主催の教育教員研究集会に行ってきた。場所は豊田高専。
 18日のD会場、第Ⅰセッションと第Ⅱセッションの発表者は、私を入れて8人中、4人が私たちのプロジェクト(課外活動)のメンバーだった。もう一人のメンバーである三崎先生は19日に現代GPの発表をされた。その三崎先生と、今年からのメンバーである三木先生が賞を受賞された。
 私がやっているもう一つのプロジェクト(日本語コミュニケーション)の方も、焼山先生がご発表、私の担当分への質問があったので、聴講席から質問に答えることになった。こちらも今年からのメンバーである畑村先生もご発表。畑村先生は、1回目からこの研究集会に参加しておられ、昨年賞を受賞されたという強者である。
 結局、今回二つのプロジェクト関係者が、都合8名発表した。来年はうまくいけば、11名が発表することになる。楽しみである。
 
 終了して帰ってきたら、夜は武道部の稽古がまっていた。

同じことを繰り返す感性

 先日、稽古における「同じことの繰り返し」について書いた(稽古の心構え)が、そのすぐ後に出た「秘伝」9月号で、同じことが話題になっていた。
 こういうことがよくある。まあ他の人でも言えることしか私が言っていないということかもしれないが、それはともかく、「秘伝」の、内田樹さんと成瀬雅春さんの対談である。もちろん内容はよく似ていても、言い方は違う。言い方が違えば、伝わる道筋と力が違う。そして結局、内容も違うということになるのである。でもこの部分だけでいうと、細かいことを抜きにすれば大体同じことを言っていると考えていいと思う。

(成瀬)……ちゃんと技として生かすためには、同じことを何百回、何千回、何万回やって、徐々に徐々に身体が一つのルートを覚えていくわけですね。……それは当然やらなきゃいけないことなんだけど、一方で、同じ動作を「今日僕は百回やりました」っていう人と、同じ動作を百回やりつつも、そのなかで違うルートを探って百回やった人との違いが凄くある。
(内田)そうですね。それは僕もよく稽古のときに言うんです。一回ずつの技はどれも自分の身体を使った実験なんだから、必ずテーマを持ってやってくださいって。仮説を立てて、ある仮説で動いた場合には何が起こるのかをチェックしなさいって。……でも実験精神のない人は同じことをやるんですよね。同じことをやるのは鍛錬の稽古で、筋肉は付くけど、運動の質は変わらない。

(成瀬)同じことを百回やっているなかでも、感性のある人は実は同じでないことに気が付く。この差は大きい。実は全く同じことって二度とできない。本人は全く同じことをやっているつもりでも、少しずつどこか違う。その「どこか違う」っていうのをどの位見つけられるかということですよ。
 成瀬さんは逆から言っているし、内田さんも私とは多少内実が違うが、でもまあだいたいこんなことを、私は自問自答(自感自答)と言っているのである。

秘伝の書(西尾市岩瀬文庫企画展)

 昨日、西尾市岩瀬文庫企画展「秘伝の書」を見てきた。
 和歌や連歌俳諧関係の、非常に興味をそそられる伝書もあり、記憶術や汚れの落とし方の秘伝書もあり、それ以外にも様々な分野の秘伝書が一覧できるという、なんとも贅沢な展示だった。堪能させて頂きました。
 その後は岩瀬文庫の資料を拝見。美濃派伝書ほか、俳諧の伝書を中心に見せて頂いた。詳しく内容を検討したい伝書もいくつかあった。さすが岩瀬文庫。これからもしばしば行きたいですね。

江川坦庵公遺訓

 11日、伊豆を離れる前に、英龍(坦庵)で有名な、重要文化財 江川邸に寄る。
 塾の間に野田蘭洞の額があった。これに関する説明は何もなかったし、自分で調べてもいないので、出典や詳細は不明であるが、ともかくこう書かれていた。
  江川坦庵公遺訓
 
 平素十分の技術も
 時に臨み用をなすは
 五分にして若し其の功
 用八分を得は天下に敵
 なし   蘭洞主人書

 さすが、佐久間象山をはじめ多くの傑物が砲術を学んだ師である。

ホーム > 過去ログ > 2009-08

カレンダー
« 2009 年 8月 »
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
最近の投稿
最近のコメント
カテゴリー
アーカイブ
リンク
中森康之研究室
武道部
俳文学会
現象学研究会

ページトップに戻る